自分は「ひきこもり」だと感じている女性が集まり、語り合う「ひきこもり女子会」が各地で開かれています。男性には理解されにくい悩みや思いもあります。なぜ「女子会」が必要で、どのような雰囲気なのでしょうか。
「女性同士だからこそ、ちょっとしたことを話して共有し合う部分はある。共感してもらえるとそれだけでほっとする。井戸端会議って、精神のバランスを取るために必要なんじゃないかって思う」
そう話す女性(49)は中学2年のとき、いじめのような体験がきっかけで不登校になり、10年間ひきこもった。結婚後、専業主婦に。普段の外出は夫が一緒だが、初めて女子会へ参加したときは「命がけで1人で向かった」という。
ひきこもり女子会では、経験者の講演のあと、当事者が車座で「対話」し、親子関係や人間関係、結婚など、多様なテーマで意見を交わす2部構成が多い。
初対面なのに、時間が進むにつれて内面をさらけ出していく。自分自身を重ね合わせて涙ぐんだり、時には笑いがあったり。開始時に硬かった表情が、帰り際には別人のように穏やかになっている。
40~64歳のひきこもり当事者が約61万人いるとした内閣府の推計(昨年3月公表)で、女性の当事者の割合は23・4%。ただ、主婦や家事手伝いという外から見えづらい立場の人もいるため、実際にはもっと多いとの指摘がある。
先ほどの女性は「自助会で会った男性のひきこもりの人には『結婚したならいいじゃない、もうひきこもりじゃないでしょ』と言われたことがあって。女性は主婦でいればいいんだからいいよねって。じゃあ私はなんなの、出られないのつらいんだけどって。専業主婦は社会的に認められているし、守られていると言われると何も言えない」。
転職先の会社の社長と合わずに解雇され、ひきこもりがちになったという別の女性(53)は「親の介護の負担とか、女性だからこそ見当がつくことがある。何となく空気感が共有できることは大きい」と話す。(川口敦子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル