ひきこもりの子どもを救ったeスポーツ 高齢者は「人生を注ぎたい」

 高校1年生の男性(16)は中高一貫の進学校に入学した中1の時、悩みにぶつかった。

 クラスでは、各小学校で学力優秀とされた仲間が集まって競いあった。ストレスがたまる中で課される大量の宿題や課題に思い悩んでいたところ、人付き合いにもつまずいた。

 同じ年の冬ごろ、外に出ると息苦しく食事もできなくなり、家に引きこもった。

 昨年の春ごろ、両親から相談を受けて自宅に来たNPO法人「高卒支援会」(東京)のスタッフから、こう勧められた。

 「仲間とゲームしない?」

 「ゲームは嫌いじゃないし……」。男性はなんとなく、フリースクールのeスポーツ部員になった。

 東京・秋葉原のeスポーツ施設で、同じように不登校を経験したことのある中3~高2の8人と一緒に月10回ほど、練習している。

 フリースクールに通っていくうちに、授業も受けられるようになった。

 今でも、人がいるところで食事はできない。それでも、昨秋にはeスポーツ部の合宿に参加して友人が増えた。今はフリースクールをほとんど欠席していない。

 別の高1の男性(16)も中1からひきこもっていたが、eスポーツ部に入って勉強と両立する。「プロになって生活したい」と技を極める考えだ。

 「高卒支援会」の竹村聡志理事長(34)は、eスポーツの効果に期待している。「1人で遊ぶゲームと違い、チームで挑むことで協調性が生まれる。難しかった人とのコミュニケーションにも抵抗感がなくなるようだ」

ゲーム初心者のお年寄りも夢中

 雪が舞い降る秋田市内のビルの一室でも、熱気を帯びていた。

 1月18日、最新のパソコンの前に並んだお年寄りたち5人が声を掛け合っていた。

 「いま、どこのエリアにいますか」「やっつけるのは、あと1人か」。マウスとキーボードを素早く操っていた。

 ここは、お年寄りがプロのeスポーツ選手をめざすチームの練習場所だ。

 チーム名は「マタギスナイパーズ」。16人のメンバーの平均年齢は67歳だ。

 市内在住の選手名「Mr.北さん」(73)は、こう語る。

 「人生残り少ない。その時間を注ぎたい」

 1級建築士として働いていた…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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