ひきこもりの苦しみ、経験した私だからこそ 広がる当事者目線の支援

 子どもから中高年まで――。ひきこもり状態にある人(15~64歳)が全国で推計146万人いることが内閣府の調査で明らかになった。様々な苦悩や課題を抱え、世代も背景も異なる人たちにどんな支援ができるのか。求められている支援とは何か。当事者の目線に立った取り組みも始まりつつある。

 ひきこもり経験者が、今ひきこもり状態にある人や家族の相談にのる。そんなピア(仲間)サポートの取り組みが、全国に先駆けて高知県で始まっている。

 坂本龍馬生誕の地にほど近い高知市の住宅街。公務員住宅だった木造家屋に、「高知ひきこもりピアサポートセンター」がオープンした。2020年4月のことだ。

 ピアサポーターとして働いているのは、ひきこもりの経験者が7人(20~50代)、家族としての経験者が4人(60~70代)だ。開所日には、少なくとも2人が常駐し、来所や電話での相談に応じる。自宅を訪問して話を聞くこともある。

 相談に来るひきこもり当事者の年齢は、10~60代まで幅広い。対面しても言葉をほとんど発しない人、背を向けて視線をあわせようとしない人もいる。

 「私自身、言いたいことがのど元まで出かかっても、最初は自分のことを何も語れませんでした。思いと正反対のことを言葉にしてしまうこともありました。だから相手の気持ちがわかるんです」

 ピアサポーターとして週3日勤務する島崎健一郎さん(43)は、そう話す。

 20代から30代半ばまで…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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