ひき逃げされた一人娘、両親が迎えた時効成立 「真実知りたかった」

 千葉市花見川区犢橋町の市道交差点で2013年11月、原付きバイクに乗っていた同区千種町の会社員舘下敬子さん(当時47)が車にはねられ、死亡した事件は6日午前0時に公訴時効が成立した。一人娘だった長女敬子さんの10回目の命日を迎えた6日午前、母の政子さん(84)と父の明彦さん(88)が現場を訪れ、遺影に手を合わせた。「真実を知りたかった」――。

 事件は11月5日夜に発生し、敬子さんは翌6日に亡くなった。夫婦は命日のたびに現場を訪れていたが、足が悪くなって通えなくなっていた。2年ぶりのこの日、花を供えた路上に持参した遺影を置き、線香に火をつけた。敬子さんが息を引き取った午前10時41分が近づくと、目を閉じた。

 「つらかったね」。頭の中で語りかけ、敬子さんが大ファンだった阪神タイガースが日本一になったことを報告した。

 県警は時効成立が約1カ月後に迫った9月28日、関係者から有力な情報提供があったとして、印西市の男性(37)を自動車運転過失致死の疑いで逮捕した。男性は10月18日に処分保留で釈放され、在宅で捜査が続いた。千葉地検は11月2日、「有罪を立証できる証拠がなかった」として、時効を迎える前に不起訴処分(嫌疑不十分)とした。

 明彦さんは捜査機関の決定に従うとした上で、「法廷で明らかにしてほしかった。残念という言葉に尽きる。心の中ではまだ事件は終わっていない」。政子さんは「毎日苦しかった。本当のことを聞きたかった」と話した。証拠品の一部は返却してもらうという。(マハール有仁州)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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