福岡県宮若市の九州自動車道で2015年、男女2人が車にはねられるなどして亡くなった事故で、道路交通法(救護義務)違反の罪に問われた被告の男性(53)=熊本県八代市=に対し、福岡地裁小倉支部(井野憲司裁判長)は1月31日、無罪(求刑懲役10カ月)の判決を言い渡した。井野裁判長は、衝突時の状況などを検討した結果、「被告人の公判供述を覆す検察官の立証はない」とした。
判決によると、事故は15年1月1日未明に発生。男女2人乗りの軽乗用車が横転し、中央線付近に倒れていた女性(当時32)を男性(同31)が中腰になって救助中、後から来た被告男性の乗用車が女性をはね、男性に衝突して走り去った。
弁護側は現場は当時、暗く視界が悪く、被告男性は高速走行中に先行車に続き急ハンドルで横転車を避けた。中央線付近にはバンパーがあると思い、衝撃を感じても走行を続けた。停止後、車体の血液様の付着などに気付き、110番通報したと無罪を主張。検察側は、実況見分の際の男性の説明や「衝突直前にブレーキを踏んでいたはず」との専門家の証言などから、被告男性は衝突の直前には亡くなった男性を視認していた。(無罪を主張する)公判供述は信用できないと主張していた。
弁護人によると、被告男性は自動車運転処罰法違反(過失致死)については不起訴になったが、道交法違反では検察審査会の不起訴不当議決を経て起訴された。福岡地検小倉支部の柴田真支部長は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ適正に対応したい」とコメントした。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル