ひったくり犯、自分のかばん残し逃走 50m6.1秒の男性が追う

岡純太郎

 「泥棒!」

 飲食店やオフィスビルが立ち並ぶ大阪市北区西天満5丁目の一方通行路に、女性の叫び声が響いた。

 大阪府警によると、2022年11月21日午後2時20分ごろ。飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達中だった田畑慶文さん(35)=大阪市西区=の目の前で、歩いていた女性(59)が男にバッグをひったくられた。

 「何も考えず、体が勝手に動いた」という田畑さん。気がつくと、逃げる男の後を追っていた。

 田畑さんは高校時代、サッカー部に所属。50メートルを6・1秒で駆け抜けるスピードが自慢だった。

 快足を飛ばして200メートルほどで追いつき、男を取り押さえようと体をつかんだ。だが男は逃れようと体をねじらせ、田畑さんは転倒。手首を打撲し、男の姿は見えなくなったが、現場には女性のバッグとともに、男が持っていた手提げかばんも残っていた。

 天満署は、かばんの中から名前が書かれたスポーツクラブの会員証が入った財布を押収。重要な証拠として捜査を進めた結果、今月11日に現場から約200メートルの場所に住む建設作業員の男(24)を強盗致傷の疑いで逮捕した。

 署は18日に田畑さんに感謝状を贈呈。森実昌宏署長は「住民の安全安心に寄与してくださった」と述べ、田畑さんは「早期に解決してよかったです」と笑顔で応じた。田畑さんは贈呈式後、「容疑者が逮捕され、『よかった』のひとことです」と話した。(岡純太郎)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment