ひとり断崖へ向かう女性 察したタクシー運転手は「おろしません」

 タクシー運転手が女性を乗せたのは今月10日。午後4時47分に大阪方面からの特急くろしおが、JR白浜駅に到着したあとのことだった。

 和歌山県白浜町の明光タクシーに勤務する北本弘さん(72)は行き先をたずねた。

 「三段壁までお願いします」

 小柄で、20代半ばに見えた。もうすぐ日没の時間。ひとりで。荷物は小さなリュックのみ。抱いたのは違和感だった。

 料金を聞かれたので答えると、女性は「よかった4千円は持っている」と返してきた。

 北本さんは、タクシーを走らせながら会話を続けた。

 「なにしに行くの?」

 「ちょっと」

 「泊まるところはあるの?」

 「まだ決めていません」

 「白浜は急に泊まれるところはないよ」

 「かまいません」

 女性はすすり泣きはじめた…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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