遠藤和希
長野市の善光寺から盗まれた木像「びんずる尊者像」が10日正午過ぎ、本堂にある元の台座に戻された。寺は、像の再安置にあたって防犯体制を強化。無事に戻った木像を前に僧侶たちによる法要も開かれ、集まった参拝者は親しまれてきた尊者像に次々と手を伸ばし、帰還を喜んでいた。
5日午前8時過ぎに本堂から盗まれた尊者像は、長野県松本市内で約3時間後、窃盗の疑いで緊急逮捕された容疑者の車から見つかった。
県警は6日に木像を寺に返していたが、寺は警備体制を再検討。台座周辺の防犯カメラを増やし、本堂の職員らの人員配置を見直した。また像が動かされた際の重さの変化を検知するセンサーの導入を検討する。報道陣の取材に林明晋・寺務総長は「僧侶としては人を疑うことはいかがなものかということもあるが、(尊者像を)守るためにご容赦頂きたい」と話した。
300年以上前に造られた尊者像は、具合が悪い体の部分と同じ所をなでると病気が治るとされる。この日、本堂に戻った尊者像の頭をなでていた市内の手塚明男さん(86)は「お帰りなさいと言いたい。何回もお参りに来ていたので、戻ってきてくれて本当によかった」と話した。(遠藤和希)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル