ほっとできる いじめを受けた「俺」が作った「まちのほけんしつ」

 頼れる大人なんていない。大人は助けてくれない。悲しみに暮れたあの日々が、間々田(ままだ)久渚(ひさな)さん(30)のいまの活動の原動力になっている。

 群馬県太田市出身。子どものころ、自分のことを「俺」と呼ぶと「女の子でしょ」と親に叱られた。スカートは嫌いだった。男の子と仲が良く、転校生の女の子にドキドキした。好きになる相手は女の子だった。

 中学生の時、いじめにあった。無視、仲間はずれ。理由は、好きだった子に気持ちを知られていたことかもしれない。親や先生に相談しても、いじめはやまなかった。

 どうしたら楽になれるか考えていた。図書室で友人が自殺についての本をすっと差し出した。「性同一性障害の人は自殺率が高い」と書いてあった。

 「あんた、これなんじゃない? でも、死ぬことないよ」

 まっすぐなその言葉が、うれしかった。

 のちに自分は「LGBTQ性的少数者)」の「T(トランスジェンダー)」、心身の性が異なる人なのだとわかった。体は女性で、心は男性だった。

 群馬大で美術を学んだ。病院…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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