伝統工芸の粋を集めた京都の舞妓(まいこ)たちの装いは、「歩く芸術品」にたとえられる。なかでもユニークなのが、めのうやサンゴ、ヒスイといった石を豪華にあしらい、舞妓のみが身につける帯留め「ぽっちり」。それぞれの屋形(置屋)に代々伝わり、歴代の舞妓たちに大切に受け継がれている。近年、ぽっちりの新作を次々と手がけている銀製かんざしアーティスト、居野家華枝(いのいえ・はなえ)さん(45)のアトリエを訪ね、ぽっちりの秘密と魅力に迫った。
舞妓たちは、屋形のおかあさん(おかみ)から「転んでもぽっちりは守って」と言いつけられている……。
そんな話が京の花街にある。単なる都市伝説かと思いきや、「本当ですよ」と花街文化に詳しい祇園の旅館「ギオン福住」の支配人、正脇良平さん(64)は言う。
屋形に代々伝わる一点物
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「舞妓さんが身に付けるもので一番高価とも言われるのがぽっちりです。屋形に代々伝わり、同じものを作れる職人さんも今はいない。そこで万が一のために、ぽっちりを守りながら転ぶ方法を学ぶ。京都のある花街の舞妓さんから聞いたことがあります」。正脇さんはそう力説する。
舞妓たちは、一般的な着物の帯より長く、重い「だらりの帯」を締める。その帯を固定させる帯締めも通常より幅が太い。そのため、帯締めに付く帯留めであるぽっちりも、大きめのものが好まれたらしい。
チョウや花などのほか、めでたい文様が多くあしらわれる。通常は舞妓個人の持ち物ではなく、舞妓が属する屋形が管理している。
記事後半では、「ぽっちり」がどのように作られているのか、その秘密に迫ります
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芸舞妓が愛用する小間物を祇園…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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