土石流に襲われた静岡県熱海市では、被災から3日目となる5日も、早朝から安否がわからない人の捜索活動が始まった。避難所となった市内のホテルには500人を超える住民が避難。疲労と不安のなか、避難者を癒やしている。
午前6時、警察や消防による捜索が再開された。多数の住宅が巻き込まれた逢初川の上流から下流にかけて5カ所を重点的に捜した。前日までの雨はやみ、時折晴れ間ものぞいた。
木々や車を押し流した土砂は、住宅の1階部分が埋もれるほどに積もっている。捜索隊は土砂をショベルカーで取り除きながら作業を進めた。見守った80代男性は、国道が土砂で寸断されたため帰宅できず、近所の施設に寝泊まりしている。「早く常備薬を取りに帰りたい」と不安そうに話した。
「もう一度あんな土砂がきたら…」決めた避難
国内有数の観光地でもある熱海市には、海を望む山沿いや市街地に100軒以上のホテルや旅館が並ぶ。発生直後には小中学校や福祉センターなど市内10カ所が避難所になったが、市は翌4日、ホテル2軒に集約すると発表した。
下流の浜地区に住む大学4年生の横田さくらさん(21)は、母(51)とともにそのうち1軒に移った。「ふかふかの布団で体を伸ばすことができホッとした。やっと気持ちに余裕ができました」。被災から3日目の朝をホテルで迎え、安堵(あんど)した様子で話した。
和室の客室は2人分の布団を敷いてもゆったりできる広さ。2日ぶりにシャワーを浴びると泥が落ちてきた。携帯を充電し、友人の安否をLINE(ライン)で確認して「こっちは大丈夫」と声を掛け合った。
土石流は目の前まで濁流が迫ってきた。約20世帯が大きな被害に遭ったとみられる。近くの実家に通じる国道もふさがれた。自宅で一夜を過ごしたが、「もう一度あんな土砂がきたら、自宅もどうなるかわからない」と避難を決めた。
市が手配するバスは高齢者が優先。乗れるバスは来ず、断続的に降り続く雨で体力が徐々に奪われた。夕方になって、地元のホテルが出したバスで避難所のホテルにたどり着いた。
中学校の体育館に避難してい…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル