犯罪の薫りを漂わせた男2人と女1人の逃避行。「パラダイス・ネクスト」は、今どき珍しいくらいのクールでスタイリッシュな映画だ。フィルム・ノワールやアメリカン・ニューシネマといった過去の名作を思い出させてくれる。
この手の物語は、日本で撮ると、往々にして気取った感じが出てしまう。主演の妻夫木聡は「台湾の街並みがそれを浄化してくれたと思います。おかげでイヤミのないオシャレな映画になった」と語る。
そう。舞台は台湾だ。日本で事件を起こし、台北に隠れ住むヤクザの島(豊川悦司)の前に、軽薄そうな男、牧野(妻夫木)が現れる。彼は島の秘密を知っているらしい。組織に追われる2人は花蓮の街へ逃げるが、そこで美しい女性シャオエンと出会い……。
台湾の巨匠、侯孝賢監督「黒衣の刺客」(2015年)に出演した妻夫木と、作曲家として侯監督の映画に参加した半野喜弘監督。台湾の街に魅せられた2人のコラボレーションだ。
「タクシーの窓から、雨にぬれた街を見た時、『色っぽい』と感じました。それに比べ、日本の都会は無機質で記号化されている。台湾の街には生命力があります。『黒衣の刺客』は山奥の撮影だったので、台湾の街で芝居をしたいと思いました」
半野監督から「実はこんなホン…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル