10月29日にリニューアルオープンした横浜みなとみらいホール(横浜市西区)の大ホールで、落下物防止の金網で「舞台が見えない」という声がSNSで相次いでいる。「音響面で影響が出る可能性もある」との指摘もある。
大ホールでは29、30日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団が演奏する公演があった。SNSで投稿が相次いだのはその直後だ。
ツイッターでは、金網ごしに舞台を写した写真や「舞台が見えない」などと訴える投稿が相次いだ。
ホールを運営する横浜市によると、金網は2、3階の座席の前に設置され、前方に46センチ伸びている。改修前にチラシやスマートフォンが落下したことがあったため、改修に合わせて設置したという。とりわけ舞台脇のバルコニー席は金網と舞台が重なり、舞台が見えにくいという。
音響への影響を考慮して金網を選んだ
担当者によると、アクリル板だと音響に大きく影響するため、音響への影響を考慮して金網にしたという。
批判の広がりを受けて市は31日夕方、「早急に撤去も含めた視認性向上に向けて調整を進めている」とする対応策を発表した。
一方、神奈川フィルによると、上階席の観客から「金網で見にくい」との声が相次ぎ、席の変更希望も両日数件ずつあったという。楽団事業推進部の田賀浩一朗さんは「お客様に申し訳なく、残念な思いでいっぱい」。
同ホールは10月21日にリニューアルオープンする予定だったが、直前の17日に照明室のスプリンクラーが作動して客席や天井がぬれ、その後に予定されていた式典や内覧会が中止になった。
このため舞台でのリハーサルもできず、楽団が金網に気づいたのは29日の本番当日。「当日の会場で驚いた。ここまで全面的に金網が設置されたホールはあまりないのではないか」
神奈フィルも改善も止める文書を提出
視界を遮るだけでなく「音響面にも影響する可能性がある」といい、31日、市とホールに改善を要求する文書を提出。「金網の撤去についても詳細はまだわからず、今後の対応を注視していく」という。
同ホールを定期演奏会会場としてきた楽団は、来シーズンの定期会員募集の準備を進めている。「金網が影響する約230席は売り止めにせざるを得ず、損失は大きい」と嘆く。
11月19日に予定している定期演奏会を始め、同ホールで予定する今期の残り公演についても当該席は売り止めし、既に販売した分は他の席への振り替えやキャンセルで対応するという。
「ホールのリニューアルを楽しみにしていた楽団員も大変残念がっている。市は一日も早く改善に着手してほしい」(西本ゆか、足立優心)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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