みんな、どうかしている。だまして、ズルして、びびらせて――。植物は決して優しいだけじゃない。NHK・Eテレの異色の不定期番組「植物に学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之」は、アダルトでブラック。放送のたびにSNSでトレンド入りする怪番組の新作が、元日夜11時に放送される。こよい、Eテレでお会いしましょう。
見る者を裏切る番組だ。
最初は、真面目な教養番組に見せかける。スタジオには簡素なホワイトボードがあり、理科の授業のような雰囲気が漂う。
だが世界観がおかしい。解説で俳優の山田孝之は、例えばツユクサの生存戦略は夜の街にパクられていると指摘する。虫をじらしプレーでおびき寄せる二重三重のわなは、客をあらゆる手段で囲い込む水商売のようだと。「夜の店の人気店は、ツユクサシステムを採用しているといって間違いないでしょう」。眉一つ動かさない山田。ボケてもだれもつっこまない。終始笑わない。微妙な間と沈黙のあと、番組はあっさりと終わる。「また次回もお楽しみに。さようなら」
一体何を見せられているのか。視聴者は驚き、混乱する。「ながら見」なんてできない。これってバラエティー? コント? どうしたEテレ――。
番組は2018年に始まり…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル