不漁が続く秋の味覚サンマ。燃料高騰も加わって今年も1匹180~200円と高値傾向が続きそうだ。漁場の南下も望み薄で、遠い北海道東方沖の漁場からサンマを運ばざるをえない福島県の漁師にとっては、かさむ燃料代と鮮度の保持で二重の困難だ。水揚げ港・小名浜の産業特性に目をつけ、選んだ策は――。
いわき市の小名浜港から8月中旬、福島県漁連に属するサンマ漁船4隻が出港した。途中で1隻が合流し船団は5隻。東日本大震災と原発事故からの復興に向けて、本格操業を再開してから今年で2年目。昨年とは違い、どの船も大量の段ボール箱を積んでいた。
県漁連によると、燃料代は一昨年は1リットルあたり平均62円余りだったが、昨年は同88円。今年は94円余りに高騰したこともある。不漁も重なり、サンマの平均単価も2018年の1キロ200円以下から、昨年は同300円以上になった。
サンマ自体も昨年は、北海道東方沖でわずかにとれただけ。今年も、小名浜港に近い三陸沖~常磐沖への群れの南下は望み薄だ。
港と漁場を往復する燃料代を節約するため、一定量をとってから水揚げしようと操業を続けると、サンマの鮮度が落ちるジレンマがある。このため漁場に近い花咲港(北海道)や宮古港(岩手県)より、さらに片道1~2日かかる小名浜港には余計に水揚げにしにくくなる。
かつて小名浜港に水揚げされるサンマは、目の前の常磐沖や近くの三陸沖でとれていた。震災前はこの船団5隻の総水揚げ量の17%弱、約280トンの漁獲があった。これが福島の漁業の復興プロジェクトの当面の数値目標になっている。だが、昨年は漁場が北海道東方沖から南下せず、遠いままだった影響で、漁獲は約17トンに終わった。
■冷凍サンマに活路 加工用の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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