戦後間もなく、やきものの新たな形を追求する前衛陶芸が京都で始まった。中心となった走泥社(そうでいしゃ)に焦点を当てた初の展覧会が京都国立近代美術館(京都市左京区)で開かれている。走泥社が果たした役割や、京都で生まれた背景について、展覧会を企画した同館の大長智広主任研究員(46)に聞いた。
――走泥社とはどんな団体ですか。
1948年に八木一夫、山田光、鈴木治ら5人が結成した陶芸団体です。全員が京焼の中心地である京都市の五条坂周辺で製陶業にかかわっていました。器などのやきものを作る技術の体系や様式は既にできあがっている場所でしたが、それに乗っかって自動的にモノを作ることをよしとしなかった人たちです。
――走泥社はメンバーを増やして1998年まで続きましたが、今回の展覧会では、結成から25周年までの活動を紹介しています。初期の活動はどのようなものだったのでしょうか。
既存の価値観にとらわれないで、やきものでなければできない造形を追い求めてきた人たちだといえます。ずっと前を向いて進んで行くことで、やきものの表現を従来の意味での器から広げていきました。
――会場には、前衛陶芸の記念碑的作品とされる八木一夫の「ザムザ氏の散歩」(54年)が展示されています。この作品がなぜ記念碑なのですか。
ろくろで、いわゆる器ではな…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル