相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人の罪などに問われた植松聖(さとし)被告(30)に対する裁判員裁判の判決が16日午後、横浜地裁であり、死刑が言い渡された。
閉廷後、裁判員と補充裁判員の計8人が記者会見に応じ、2カ月に及ぶ裁判を終えた胸のうちをそれぞれが明かした。
事件そのものについてどう感じたか。会社員の男性は「今の世の中自体が、資本主義なので生産性、効率よくやれ、という風潮になっている。それも被告の考えを形成した一因になっているのかなと思う」と述べた。別の裁判員は「事件の背景に何があったかは、裁判員を経験しても分からなかった」と話した。
植松被告の印象について、ある裁判員は「悲しいことを聞いても冷静で、何も感情を出さない人だと思った」。60代の自営業の男性は「一貫して彼の考え方は変わらなかったが、間違いに気が付いて遺族、家族に謝罪をしてほしい」と求めた。
心身の負担を問われると、会社員の50代女性は「帰り道は気持ちが重たくなった」。会社員の男性は「見ず知らずの人間を裁くのは悩みました」と話した。
匿名審理について、補充裁判員の女性は「(障害者は)普段の生活でも名前を出して生きるのが難しい。名前を出して生活できるようになればよいと思う」と語った。(土屋香乃子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル