意思疎通ができない障害者は不幸を作る――。
2016年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で利用者19人が殺害された事件。元職員の植松聖死刑囚(33)は、こうした考えを持っていたとされる。
事件をモデルとした映画「月」の公開が全国で始まった。
劇中では、障害者が障害者役を演じている。
出演を決めたのは「怒り」があったからだ。
原作は、辺見庸さんが事件から着想を得て書き上げた同名小説。
映画の舞台は、障害者への心ない扱いや暴力が繰り返される重度障害者施設。そうした理不尽に正義感や使命感を増幅させた職員が、事件へと向かう姿が描かれている。
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昨年6月、障害者の就労を支援する事業所「AGALA(あがら)」(和歌山県有田市)の利用者に、映画出演の話が舞い込んだ。代表の上野山盛大(もりひろ)さん(47)の知人を通じてだった。
上野山さんは、ためらった。
そもそも自分自身、事件を受け止めきれていない。「映画で振り返る対象とするには、まだ早いのではないか」
でも、利用者と関わるうえで大切にしてきたことがある。
「自己決定」と「外へ出ること」。
事業所でのパンづくりや配達、販売などの仕事はすべて利用者自身に決めてもらう。そうして利用者の「できる」を増やし、地域とつなぎたいと強く思っている。
「やはり、勝手に断るのは間違っている」
「死刑囚の言葉は、自分にも向けられている気がした」。記事の後半では、出演した障害者の事件への怒り、演技に込めた願いも紹介しています。
出演オファーを15人ほどの利用者全員に伝えた。
6人が手を挙げた。みずから…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル