聞き手・三井新
「性的グルーミング」を禁じることなどを柱とした刑法改正案などについて、参院での採決が迫っている。そもそもどんな行為で、課題は何なのか。警察庁で犯罪被害者支援に携わった経験がある追手門学院大学の桜井鼓・准教授(犯罪心理学)に聞いた。
――性的グルーミングとは
未成年を中心とした若者をわいせつ目的で手なずけることです。「アメをあげるからこっちにおいで」などと親切を装い、若者に近づくケースは昔からありました。ただ、若者がスマートフォンやSNSを使うのが当たり前になったことで、悪意を持った大人が不特定多数の若者に、地域を越えてアクセスできるようになりました。
会ったことがなくても、共通の趣味や出身地をきっかけに信頼関係を築けます。たとえば、「一緒にゲームをやろうよ」と持ちかけたり、「かわいいね」などと容姿を褒めたりするところから始まります。次第に「家庭がうまくいかない」などと相談を持ちかけ、相手の話を聞き出します。若者に「かわいそう」「優しくしないと」といった感情を抱かせ、2人だけの世界を作り、若者に性的な自画撮りの映像を送らせたり、性的な行為に及んだりします。
――なぜ拒めないのでしょうか
いったん2人の間に関係が構築されると、相手を疑うのは難しいです。「好きな人に会いに行っただけ」と被害を認められず、「自分も悪かった」「また会いに行っちゃうかも」というケースもあります。
背景には、若者の孤独感があ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル