わきまえる精神?昭和はもう去った ヤマザキマリさん

漫画家・ヤマザキマリさん

 人気漫画「テルマエ・ロマエ」で知られる漫画家ヤマザキマリさん(53)は、10代で海外に単身渡航。様々な国で暮らし、異なる文化や宗教観、倫理観を持つ人々と交わってきました。コロナ禍で日本に長期帰国しているヤマザキさんに聞きました。日本のジェンダー格差が解消されないのはなぜですか――。 

 ステイホーム期間中、昭和時代の日本映画をたくさんみました。

 小津安二郎監督の作品は結婚をテーマにしたものが多いですが、適齢期とされる女性について、男性たちが「片付けなきゃな」「片付けたいですね」と相談し合っているシーンがよく出てきます。独身女性が厄介者扱いを受けているようで違和感をおぼえましたが、原節子らが演じるヒロインたちもそんな風潮を普通に受け入れている。「早く自分の身の置き所をはっきりさせて、安心したい」と心から思っているような演出になっている。実際そう思っていた女性も多かったはずです。

 私が子供の頃は将来の夢に「お嫁さん」と答えていた女の子も少なくありませんでした。あの頃は、今のようにジェンダーという言葉も一般化していませんし、男女平等への不満を持っていても声を上げる人は圧倒的に少ない時代でしたから、そんな扱われ方も当たり前のものと受け止めていたのでしょう。

女手一つで姉妹育てた母「結婚なんてしなくていい」

 一方で、今年87歳になる私の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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