アジアゾウ出産、準間接飼育では国内初 札幌の円山動物園

古畑航希

 札幌市円山動物園は20日、アジアゾウ「パール」(19)が19日に出産したと発表した。飼育員が柵越しに健康状態を管理してゾウと同じエリアに立ち入らない「準間接飼育」での出産は全国で初めて。

 同日午後9時50分ごろ、パールの陣痛が始まり、約50分後に出産をした。子ゾウはパールの促しをうけながら自力で立ち上がり、授乳も確認された。子ゾウはパールの周りを歩いて動き回り、母子ともに健康だという。子ゾウの正確な体重や性別は確認できていないが、推定全長90センチ、体重90キロ。

 パールは2021年3月、オスのシーシュ(15)と同居を開始。22年9月、黄体ホルモンが高い値を示していることから妊娠の可能性が高いと判断され、翌10月にエコーで胎仔(たいし)が確認されていた。

 日本では飼育員がゾウと同じエリアに入り健康状態を管理する「直接飼育」が一般的。出産では飼育員が分娩(ぶんべん)や子ゾウの起立、授乳の補助をする。一方、準間接飼育では子ゾウの意識がないなど、トラブルが起きない限り手助けしない。準間接飼育は飼育員の安全確保やゾウへのストレス軽減を図れる利点がある。

 円山動物園は18年にミャンマーから4頭のアジアゾウを導入した際、準間接飼育を採用した。担当者は「妊娠から出産までは無事にこぎつけた。人にも動物にも安全な管理方法でも繁殖できるということを全国の動物園に発信し、ゾウの保全に寄与していきたい」と話した。

 準間接飼育では、ゾウが自らの意思で柵から脚などを出すことによって、健康状態を管理する。今後、子ゾウは専用施設で体重測定や採血のためのトレーニングを行う。同園は子ゾウの成長を確認しながら、9月中の一般公開をめざし、愛称を募集する。(古畑航希)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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