「Re」という名の、小さな小さなアパレルブランドがあった。
肌触りのいいボタンダウンのシャツ、パジャマのように着られるワンピース、サルエルタイプのイージーパンツ。貝ボタンやテーパードの袖、刺繡(ししゅう)のロゴにもこだわりがある。何年も持ち続けたくなる服たちだ。
「Re」は2018年、当時32歳だった大村泰さんが、仙台でたった一人で立ち上げた。
皆からはヤスと呼ばれた。服とサッカーが大好きで、いつも周りに人がいる。そんな若者だった。
神戸大大学院を出て、東京のIT企業で働いていた26歳のとき、白血病を発症。仙台の実家に戻り、骨髄移植に伴う合併症で闘病を続けながらの起業だった。
お気に入りだったブランドのデザイナーに意匠を頼み、生地メーカーや縫製工場とも自ら交渉した。資金は会社員時代の蓄えをあてた。商品ができあがると、フェイスブックなどで宣伝。店舗ではなく、バーやレストランを臨時に借りて、販売会を開く形をとった。
神戸で、東京で、仙台で。仲間がふらりと立ち寄って、服を選び、気に入って知り合いに教えた。それが「Re」の流儀だった。
軌道に乗せる 神戸転居の直後に……
ブランドをいよいよ軌道に乗…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル