藤家秀一
タブレット端末などの画面を指でなぞることで魚の「三枚おろし」を体験できるアプリケーション(応用ソフト)ができた。開発したのは、マダイやブリの養殖が盛んな愛媛県愛南町の町職員、清水貴光さん(49)だ。地元特産の養殖魚をもっとPRしたいとの思いもある。
きっかけは、新型コロナウイルスの影響で学校などでの調理実習がやりにくくなったこと。町水産課の清水さんは、調理実習ができない町内の小学生に魚のさばき方を体感してもらう方法はないかと考えた。
前職はプログラマー。その時に培った技術を生かし、町内で特に養殖が盛んなタイ、スマ、ブリの三枚おろしが疑似体験できるゲームアプリを仕立てた。
アプリはタブレット端末などでの利用を想定。グーグルの配信サービス「グーグルプレイ」からダウンロードすると、画面を指示通りに指でなぞりながら三枚おろしが体験できる。
マダイの場合、包丁やキッチンばさみなどを使いながら2~5分ほどで59の解体工程をこなしていく。終了後には、習熟度が8段階で表示される。
6月に地元の小学校で実施した体験授業では、「次は本物の魚をさばいてみたくなった」などと好評だったという。当初は子どもたち向けに開発したが、グーグルプレイに登録され、一般の人も利用できるようになった。
アプリは地元漁協などでつくる「愛南町ぎょしょく普及推進協議会」がPRする。ぎょしょくには、魚に触れる「魚触」▽魚の生態や栄養を学ぶ「魚色」▽獲(と)る漁業を学ぶ「魚職」▽育てる漁業を学ぶ「魚殖」▽伝統的な魚文化を学ぶ「魚飾」▽魚を取り巻く環境を学ぶ「魚植」▽魚の味を知る「魚食」の七つの意味があり、町内では以前から「ぎょしょく教育」が盛んだ。
清水さんは「アプリで三枚おろしのコツを覚えて、愛南町産の魚をどんどんさばいて食べてほしい。家で魚を調理する大人にも利用してほしい。町のPRにつながればうれしい」と話している。(藤家秀一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル