2021年1月から実施される大学入学共通テストを巡り、英語の民間試験導入が延期となった最中、今度は国語が新たな火種となっている。
これまでのマークシート方式に加えて、「自ら考え判断し、表現する力を測る」ことを目的に、国語では記述問題が導入される。問題となっているのはその採点で、自由に解答できる記述式は評価基準があいまいになり、採点に差やミスが出やすいのではという懸念がある。その上、テストは約50万人が受験するとみられ、2次試験が始まるまでの約20日間で採点を終えるには、1万人の採点者が必要になると言われている。
採点業務はベネッセグループの子会社が約61億6000万円で落札した。5日の国会審議でベネッセ側は、野党からの「採点者はアルバイトを採用する予定か?」との追及に「アルバイトという方も当然いらっしゃる」と答えている。
実際に去年11月に行われたプレテストでは、国語の記述問題で約0.3%の採点ミスが見つかっていた。本番で受験する約50万人で計算すると、1500人も採点ミスが発生することになる。
最初に挑むことになる今の高校2年生からも不安の声が上がる、国語の記述問題。国会にも招かれた“入試改革”を考える予備校講師の会の吉田弘幸代表は、「採点ができない」という問題点について次のように指摘する。
「受験生が50万人を超える中で、受験生が直筆で書いた文字をちゃんと読んで採点基準に照らして点数をつけるということを、短期間に正確に行うことは常識で考えると不可能だと思う。採点者は明確にはなっていないが、アルバイトの募集、その中では学生の募集も否定されていない。記述式で価値のある問題であれば解答にも幅が出てくるが、その幅をどこまで判断するかを適正にできるかどうかは疑問が大きい」
また、自己採点の難しさも指摘。マークシート形式では、問題用紙に解答を書いておき、後に自己採点をする人は多いが、「国語は何文字か書かなければならないが、試験時間も限られているので、解答を覚えたり写したりする時間はないだろう。そうすると、公表された解答と照らし合わせるのは難しい。採点基準も非常に複雑になっているので、自分の評価を適正に判断することも困難になるのではないか。自分の能力と合っている大学に出願できなくなる可能性がある」と吉田氏。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース