イチナナ「なんだ、この感覚」 日常のぞき見・投げ銭?

皆さんの身近な困りごとや疑問をSNSで募集中。「#N4U」取材班が深掘りします。

 「『イチナナ』がすごい勢いで拡大しています。どのような仕組みなのでしょうか」。こんな投稿が「#ニュース4U」取材班に寄せられた。イチナナとはライブ配信アプリ「17(イチナナ)Live」のこと。人気の秘密を探ろうと実際に記者が視聴してみると、ん、なんだ、この感覚は……。(鈴木洋和)

 ライブ配信アプリは、スマホを使って誰でも好きな内容を生中継できるアプリだ。配信者は「ライバー」と呼ばれる。視聴者が「投げ銭」という形で贈る有料アイテムがライバーたちの収入になる。

 記者の私(44)も自分のスマホに「17Live」のアプリをダウンロードしてみた。

 トップページには、ライバーの顔写真がずらりと並ぶ。すべてのライバーを見られる画面のほか、「ビギナー」「音楽」「ゲーム」などカテゴリーごとの画面もあり、タップするとすぐに配信を見られる。

 試しに若い女性の顔写真をタップすると、女性は自宅のような部屋に座っていた。

 歌やモノマネなど一芸に秀でたライバーたちの競演――。そんな予想は、配信を見ているうちに覆った。

 「おなかすいたぁ」「新人ライバーです。応援、よろしくお願いします」

 女性がただしゃべるのを見ているうちに、時間が過ぎていく。女性の日常をのぞき見しているような、変な気持ちになる。

 画面左下には、視聴者のコメントが次々表示され、ライバーが答えていく。

 「部屋、寒くない?」「大丈夫だよ、ありがとう」

 「学校から帰ってきたよ」「お帰り~」

 そんな感じだ。音楽やゲームの腕前を披露する配信ももちろんあるが、この女性のように、ただ「雑談」するだけのものが多いのだという。

思い切って、コメントしてみた

 せっかくなので、私も思い切ってコメントしてみた。

 「こんにちは」と切り出し、スイーツの話で盛り上がっていたので「私はモンブランが好きです」と入力した。すると、ライバーが「あ、モンブラン、私も好き好き。今、季節だよね」と答えてくれた。

 ん……なんだ、この感覚。予想以上にうれしい。画面の向こうの見知らぬ女性とコミュニケーションを取れるのが新鮮だった。

 視聴者を飽きさせない、「17Live」の仕掛けの一つが「ギフト」だ。

 視聴者はお気に入りのライバーにギフトを贈るため、まずコインを購入する。120円で330コイン、1万2千円で3万5980コインを得られる。

 ギフトは100種類以上あり、一つ25コイン(約9円)から12万コイン(約4万円)のものまである。これを配信中に「投げ銭」という形でライバーに贈る。朝日新聞社の調べでは、コインの15%分がライバーへ渡り、認証ライバーになると、契約によっては30%分以上に上がるそうだ。

軍曹・少佐・中佐…4ランクで特典に差

拡大する17Liveを運営する「17 Media Japan」の入り口。マスコットキャラ「17ベイビー」が描かれていた=2019年10月、東京都港区

 ライバーのファンクラブにあたる「ライバーアーミー」という制度もある。

 「アーミー」たちは会費の額によって「軍曹」「少佐」「中佐」「大佐」という四つの階級に分かれている。会費は軍曹なら月3810円、大佐なら月19万1500円だ。

 階級によって特典に差が出る仕組みで、例えば、自分のことをライバーにアピールするため、コメントを目立たせる「弾幕コメント」という機能。この機能を「軍曹」は60回だけしか使えないが、「中佐」と「大佐」は無制限で使うことができる。

ライバーの6割は女性、収入は…

 「17Live」を運営する「17 Media Japan」(東京都港区)は2015年、台湾でサービスを始めた。17年に日本へ上陸。現在、シンガポール、マレーシア、香港など主に6地域でサービスを展開しており、ユーザーは計4200万人にのぼる。

 アプリをダウンロードしたら誰でも配信できるが、同社と契約している「認証ライバー」と、それ以外のライバーに区別される。

記事後半では、3万7千人のフォロワーがいる女性を直撃。ライダーを始めたきっかけは、ある国家資格を広く知ってほしいという思いがありました。専門家から見たイチナナの魅力、難しさも紹介します。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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