東京五輪・パラリンピックをめぐる談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われたイベント制作会社「セイムトゥー」前社長・海野雅生被告(56)と法人としての同社の初公判が16日、東京地裁であった。海野前社長は、競争入札で受注したテスト大会業務と随意契約だった本大会業務などの、いずれについても「談合していません」と述べ、無罪を主張した。一連の公判で、起訴内容を全面否認したケースは初めて。
事件では、大会組織委員会が発注した大会運営業務について、競技会場ごとに受注業者を事前に決めたとして、広告最大手「電通」など法人6社と各社の担当幹部ら6人、組織委の大会運営局元次長の計7人が同罪で起訴された。
この日は、広告大手「東急エージェンシー」と同社元執行役員・安田光夫被告(61)の初公判もあった。東急側は、競争入札分の談合は認めたが、随意契約分の認否は来年の次回公判で示すとして留保した。
東急エージェンシーは本大会分の認否留保
安田元役員は「(随意契約の)本大会分については知らない。談合の全体像を知らされていなかった」と説明した。その上で「電通と(組織委)元次長が仕切りをしていると感じていたが、それに乗っかった。社内で問題提起したにもかかわらず、公正取引委員会に通報しなかったことは反省している」と述べた。
これまでの公判では、組織委元次長は起訴内容を全面的に認めた。電通側は東急側と同様に随意契約分の認否を留保し、否認を視野に調整している。全体の契約金は約437億円で、随意契約分が約99%を占める。(藤牧幸一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル