イランが1月8日、ウクライナ旅客機をミサイルで誤って撃ち落とし、約73時間にわたって撃墜の事実を隠蔽しようとした経緯が、関係者の証言で明らかになってきた。留学したり移住したりした多くのイラン人乗客を含め、計176人が突然命を奪われた悲劇。軍部は発生直後に誤射を認識していたが隠し続け、撃墜を疑う米国などの圧力を受けて公表に追い込まれた。この間、ロウハニ大統領ら政府高官にも虚偽の説明を繰り返していた。戦争の危機が現実味を帯びた極限状況下で、イランのイスラム体制内部の亀裂が露呈した。(テヘラン共同=小玉原一郎)
▽火の玉
予定時刻から遅れ、キエフ行きのウクライナ国際航空752便ボーイング737―800型機がテヘランのイマーム・ホメイニ国際空港を離陸したのは1月8日午前6時12分だった。イランが革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官殺害への報復としてイラクの米軍拠点2カ所を弾道ミサイルで攻撃してから約5時間後だった。イランは米軍の反撃に備え、全土で厳戒態勢を敷いていた。
「イラン本土に向け巡航ミサイルが発射された」―。その頃、誤情報が防衛隊に入電した。当時、防衛隊は空港から北西約30キロの地点に、旧ソ連で開発された移動式の防空システム「トールM1」を配備していた。トールM1の操作者は、この情報に引きずられ、レーダー上のウクライナ機を巡航ミサイルと誤認した。
操作者は上官の承認を得ようとしたが、通信障害か妨害で交信できず、地対空ミサイル2発を自分の判断で発射したとされる。1発目は上昇中の同機近くで爆発、散弾銃のように多数の破片が機体を襲った。2発目は命中し、火の玉と化した同機は6時18分に墜落、乗客乗員計176人全員が死亡した。
防衛隊の航空部門を率いるハジザデ司令官は当時、イラン西部にいた。隣国イラクの米拠点に対する弾道ミサイル攻撃の作戦を指揮していたとみられる。部下の一報を受けて空路でテヘランに急きょ帰任中の7時すぎ、上官のサラミ司令官に「旅客機を撃墜したとみられる」と報告した。テヘランでは緊急会議が持たれた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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