太田原奈都乃
あなたなら1年でフォロワーを増やせる――。ウェブ会議でこのような勧誘を受けて高額な契約をさせられるトラブルが増えている。「インフルエンサー養成講座」に100万円を支払った20代男性の事案について、東京都は4日、有識者らでつくる「都消費者被害救済委員会」に解決を付託した。同様の付託は初めてという。
都消費生活総合センターによると、男性には最初、「インフルエンサーになりませんか」というダイレクトメッセージがSNSに届いた。返信するとウェブ会議に誘導され、養成講座を勧められた。約80万円もする契約料にためらったが、「利益が出てすぐ取り返せる」などと説明され、分割払いで契約。1カ月後に解約したいと伝えると、「中途解約しても返金できない」と言われたという。
都はこの事案が、①特定商取引法が規定する電話勧誘販売に該当する②クーリング・オフが可能③「中途解約しても返金しない」とする事業者の主張は消費者契約法で無効と言える――などと判断した。消費者被害救済委は、都消費生活条例に基づき設置された知事の付属機関で、付託事案について弁護士らが審議し、当事者に解決をあっせんする。
新型コロナの影響もあってか、ウェブ会議を利用した契約に関する都内の相談件数は急増。2019年度は1件だったが、20年度は120件、21年度は231件、22年度は307件に上った。副業や就活などの講座をうたうものが多く、「軽い気持ちで参加した」という若い世代の被害が目立つ。
同センターは「話を聞くだけのつもりでも、高額な契約を勧誘されることがある」。高額な契約の場合、長期間の分割支払いを勧められることがあるといい、支払期間や総額、費用の内訳などを慎重に判断するよう呼びかけている。相談は、消費者ホットライン(電話番号188)へ。(太田原奈都乃)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル