名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟の弁論が27日、名古屋地裁であった。国側は入管側の対応に問題がなかったとする医師の意見書を提出した。
訴訟では、収容中のウィシュマさんの体調悪化が深刻化するなか、入管側が適切に対応したかどうかが争点となっている。
原告側は「私、死ぬ」「息、難しい」と訴えるウィシュマさんに対し、入管側が適切な医療行為を施さなかったと主張していた。一方、国の意見書で医師は、直前の診察で異常がなかったことなどを根拠にこれらの発言は「看守の注目を集めるため」だったとし、ウィシュマさんが深刻な状況ではなかったとの見方を示した。
これに対し、ウィシュマさんの妹のワヨミさん(31)は意見陳述で「姉は大げさに苦しんでみせたということなのか。こんなことを医者がいうなんて本当にありえるのか。なぜこんなひどい言われ方をしなければならないのか」と述べた。
遺族側弁護団の指宿昭一弁護士は閉廷後の記者会見で、「詐病で人は死なない。どんなに理屈をねじまげてでも入管の責任を否定したいという思いがこの意見書にもにじんでいる」と批判した。(高橋俊成)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル