炎天下で部活動に励む中学生を守ろうと、奈良県生駒市が熱中症対策に力を入れている。リアルタイムで体調の変化を計測するウエアラブル端末を導入し、心拍数などのデータを可視化。気温や湿度などから算出する暑さ指数(WBGT)も計測し、熱中症を未然に防ぐ取り組みが一部の学校現場で実践されている。
直射日光が照りつけるグラウンドで、パスをつなぐハンドボール部員ら。コート脇に置かれたタブレット端末には、数値化された彼らの生体データがリアルタイムで表示されている。この夏、最先端技術が試験導入された同県生駒市立大瀬中学の一コマだ。
同校では平成28年8月、男子ハンドボール部に所属していた1年生の生徒が熱中症で死亡する事故があった。市は再発防止に向け、学校現場での熱中症対策を徹底。この一環として先月、ウエアラブル端末のIoT製品を開発する「ミツフジ」(京都府精華町)、気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)、生駒市体育協会の3者と協定を締結した。
ミツフジが提供するサービス「hamon(ハモン)」では、銀メッキ繊維のウエアに生体情報を発信するトランスミッターを装着し、心拍数や呼吸数がスマートフォンで確認できる仕組みだ。生体情報の解析結果は担当教諭のタブレットに送られ、生徒が熱中症の予兆を示していれば警報を表示。速やかに予防策を講じることが可能になる。
また、ウェザーニューズの気象ウェブサービス「MiCATA(ミカタ)」も活用し、天気予報や気温、湿度などピンポイントの情報を取得。暑さ指数を常時計測し、熱中症対策に役立てる。
男子ハンドボール部では先月から、部員約20人が利用。現在はミツフジの社員がタブレット端末でモニタリングしている。ミツフジの三寺歩社長は「この取り組みが暑熱対策の一つのモデルになれば」。同部顧問の男性教諭(37)は「これまでは生徒からの自己申告でしか体調の変化が分からなかった。視覚的に明確になるのでありがたい」と話した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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