ロシアによるウクライナへの侵攻が止まらない中、福岡県内に住む約30人のウクライナ人たちが6日昼、福岡市・天神の警固(けご)公園で抗議集会を開いた。国旗やプラカードを掲げ、「人がたくさん死んでいる。戦争やめろ」と訴えた。
ともに福岡市に住むウクライナ人の主婦、倉富オリガさん(43)と会社員のディミトロ・ファイズリンさん(35)が友人を中心に呼びかけた。2月27日に初めて天神で集会を開き、今回は2回目。ファイズリンさんは「日本にいる私たちにできることは、ウクライナで起きている戦争について知ってもらい、募金などの支援の輪を広げること」と話す。
SNSで知って参加した同県大野城市に住むモデルのマリアさんは母親がウクライナ人。幼い頃に1年間、母の故郷の西部テルノピリで過ごしたことがある。
数年前まで福岡市に住んでいた友人の男性が首都キエフで暮らしており、ロシアが本格的な侵攻を始めた2月24日にSNSで安否を気遣うメッセージを送ったが、返事がなかった。3日後、男性の母親から、ロシア軍の爆撃で男性が亡くなったと連絡があったという。
マリアさんは「ウクライナで起きていることは日本と無関係じゃない。深刻な状況を知って欲しい」と訴える。
福岡市の主婦、井手口ナタリさん(39)は西部のジトーミル出身で、実家の近くが空爆され、幼い頃から知っている一家が亡くなり、60代の両親が住む実家の窓も衝撃でガラスが割れたという。
今後、電気やガスが止まると、両親が寒さに耐えられなくなるのではないかと心配する。「今の状況に言葉が出てこない。ウクライナだけの力ではロシアを止めることは難しい。日本にも力を貸して欲しい」と話す。
福岡市在住の主婦、浅田イバンナさん(34)の実家がある北西部のバラシュには原子力発電所がある。
ロシア軍が4日に南東部のザポリージャ原子力発電所を砲撃すると、家族は実家の地下室に避難したという。
「原発が攻撃され、福島や広島、長崎のような悲劇が起きるのではないかと恐れている。この戦争はウクライナとロシアの戦争ではなく、人類とロシアの戦いだ。戦闘ではなく、外交的に決着することを望んでいる」と話した。(山崎毅朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル