ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、日本の食卓への影響を危ぶむ声が上がっている。鮮魚店では海の幸が値上がりし、穀物の価格高騰や原油高は家計を圧迫しかねない。遠い国で起きた戦争が、身近な暮らしにも影を落とす。(山口啓太、斉藤佑介)
3日昼すぎ、東京・築地の鮮魚店「斉藤水産」で仕入れを担当する男性従業員(40)が危機感を募らせていた。「すでにカニの取り合いが始まっている」
国産のカニの仕入れ値は2週間前に比べて2割ほど上昇。情勢悪化の影響で市場に出回るロシア産のカニが減り始め、他の産地に需要が集中しているためだと男性はみる。この日は仕入れ値が上がる前より毛ガニを100グラムあたり200円ほど高く売った。店にはロシア産のサケなども並び、「今後さらに仕入れに影響するかも」と心配する。
水産白書(2020年度)によると、主な水産物の輸入相手でロシアが占める割合は、カニ61・8%、サケ・マス類9・5%、エビ3・8%と日本との結びつきは深い。欧米や日本がロシアへの経済制裁を強めるなか、海産物の取引への影響が懸念される。
近くの老舗海鮮店「つきじかんの」取締役の飯島浩之さん(57)が懸念するのは「ウニ」だ。店で仕入れるウニの半分は、北方四島周辺でとれる「ロシア産」。品質が良く、店では「上ウニ」として売る。ロシアからの供給がなくなった場合、「上ウニ」を出せなくなったり、国産やカナダ産の値段が上がったりする可能性があるという。
かつて築地を埋めた外国人観…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル