ウサギの「しろ」手術で死亡、病院側に賠償命令 判決「家族の一員」

関ゆみん 茶井祐輝

 獣医師から十分な説明がないまま受けた手術でペットのウサギが死んだとして、飼い主夫妻が660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(中山裕貴裁判官)は、京都府内の動物病院の獣医師2人と病院の運営会社(奈良市)に慰謝料など66万円の支払いを命じた。判決は3月26日付。

 中山裁判官は、獣医師が手術の危険性の説明を怠ったと判断したうえで、子どものいない夫妻にとってウサギは「かけがえのない家族の一員。並々でない愛情を注ぎ、大切に育ててきた。絶望感は察するに余りある」と述べた。

 判決などによると、ウサギはネザーランド・ドワーフホト種の雌の「しろ」。原告の男性(54)は妻と2人暮らしで、2018年に生まれたばかりのしろを迎えた。しろが遊べるようルーフバルコニー付きの集合住宅に引っ越すなど、子ども同然にかわいがっていた。

 しろは食事や排泄(はいせつ)をしなくなり、21年8月に京都府精華町の動物病院を受診。投薬などの治療を受けた後、18日に獣医師から約2時間にわたって「自分の子どもだったら今すぐ手術をする」などと勧められたが、死亡リスクの説明はなかった。しろは腸管の切開手術中に、痛みに耐えかねて心停止した。

 判決は「(手術を)行うことはおよそ許されないと言い切るのは困難」としつつ、手術の危険性や他に選択可能な治療法について「(獣医師らに)説明義務違反があったことは明らか」と判断した。

 飼い主の男性は5日会見し、「共に暮らし、お互いに心が通じ合う関係だった。獣医師には、単なる『物』としてではなく家族として治療にあたってほしかった」と話した。

 動物病院の運営会社は「判決についてはコメントを差し控える。控訴の意向については弁護士と相談する」としている。(関ゆみん、茶井祐輝)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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