エクモ治療、「30秒」が勝負のわけ 特訓重ねる現場

 「今回のコロナ禍のような事態は予想していた。エクモはチーム治療。マンパワーも重要な要素になる」

 福岡大学病院(福岡市城南区)のECMOセンター長で医学部救命救急医学講座の石倉宏恭主任教授(62)はそう話す。

 同病院がエクモ導入に動き出したのは、2009年の新型インフルエンザ流行がきっかけだった。当時も全国の医療機関にエクモが導入されていたが、扱える人材は不足していた。将来の新型ウイルスの大流行に備えて、翌年から先進地のスウェーデンへ星野耕大・副センター長(36)らを派遣し、技術の習熟に努めてきた。

 年間10人ほどの患者を受け入れてきたが、コロナの感染拡大でエクモの重要性が増した。救命救急センターの医師や看護師を中心に昨年7月、最大5人の患者を受け入れられるエクモセンターを開設。重症者の治療に特化したセンターは、沖縄を除く大阪以西では唯一で、これまで34人の重症患者を受け入れて20人が回復し、19日現在で4人が入院している。

 治療水準の高さを示すのが、血液を送る管の交換だ。血液が固まって血栓ができると、装置を止めて管を交換しなければならない。患者の弱った肺に頼らざるを得ない一刻を争う状況の中で速さと正確さが求められる。1秒でも短くなるようスタッフは日々トレーニングを重ね、交換時間は30秒を切るという。(川田惇史、小林太一)

福岡大学病院ECMOセンター長「患者1人に最低5人。マンパワー重要」

 新型コロナウイルス患者の命を守る「最後の砦(とりで)」とされるECMO(エクモ)(体外式膜型人工肺)による治療で全国有数の実績がある、福岡大学病院(福岡市城南区)ECMOセンターの石倉宏恭・センター長(62)に現状と課題を聞いた。

 ――センターを開設した…

2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment