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臨時国会が26日に開会し、菅義偉総理大臣が就任後初の所信表明演説に臨みました。番組では、演説のなかで『不妊治療の保険適用』と『温室効果ガスの実質ゼロ』に注目し、テレビ朝日政治部の足立直紀部長に解説してもらいました。 ◇不妊治療の保険適用
現在、不妊治療に関して保険適用になるのは「検査」や「薬や手術による治療」といった一部だけです。高額とされる「人工授精」「体外受精」「顕微授精」「男性に対する治療」は、保険適用の対象外となっています。ただ、保険適用外の治療については、現在、国の助成があります。夫婦の年収が730万円未満の世帯には、初回は30万円、2回目以降は15万円が助成されます。 (Q.菅総理が早期実現を目指す背景には何がある?)
テレビ朝日政治部・足立直紀部長:「菅総理は横浜市議の時代から、有権者から『お金がかかり過ぎる』という話を聞いて問題意識を持っていたといいます。ただ、不妊治療にも色んな種類があり、受診する人の状態や治療のレベルによっても大きく金額が変わってきます。どこまでを保険適用にして、どこから適用外にするのかなど、細かな制度設計をしていかなくてはなりません」 (Q.実現していくうえでの課題は?)
テレビ朝日政治部・足立直紀部長:「不妊治療に対する社会全体の理解も不可欠です。政府は26日、不妊治療のために職場を休みやすい環境づくりや、SNSを使った相談体制の整備について検討を始めました。企業がどう向き合っていくかというのも課題になります」 ◇温室効果ガスの実質ゼロ
菅総理は「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と国として初めて具体的な目標を示しました。 (Q.菅総理はなぜ今、ここに踏み込んだ?)
テレビ朝日政治部・足立直紀部長:「菅総理は今やらなければいけない時期に来ているという問題意識を持っています。世界の100カ国以上が2050年に実質ゼロを掲げているなかで、乗り遅れるわけにはいかないという考えです。去年のCOP25では小泉進次郎環境大臣が酷評されました。その時から、小泉大臣は、官房長官だった菅氏に目標を設定するよう求めていました。ただ、産業界などの反対もあって高いハードルだったといいます。そこで、総理になって梶山弘志経済産業大臣と、小泉大臣を留任させて調整を進めました。なかでも梶山大臣はこの1カ月、各業界と直接話し合い、役所内の調整も済ませて、ようやく表明につなげたということです。 2018年度の日本の電源構成は、石炭・天然ガス・石油で約8割を占めています。一方で、原子力は6%、再生可能エネルギーが水力発電と合わせて約16%となっています。 菅総理は所信表明で、「再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進める」「長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換する」と話しました。 (Q.日本の原子力政策はどうなっていくのか?)
テレビ朝日政治部・足立直紀部長:「梶山大臣は、原発を「電源の一つとして有効な手段」だと述べています。再生可能エネルギーは一気には増えないので、拡大するまで安全が確認された原発は再稼働してつないでいくという形になります」 (Q.菅総理の発言は大きな一歩となる?)
テレビ朝日政治部・足立直紀部長:「今までなかなか2050年にゼロという目標を出せずにいたものを出したので、そういう意味では大きな一歩です。ただ、花火を打ち上げただけで、これから実行していかなくてはなりません。一つ一つ制度設計をしていきながら、2050年に実質ゼロを成し遂げることができるかというのがこれからの課題になります」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース