エフエム東京が、デジタルで放送するラジオの新事業での赤字を隠すため、不正な株取引を行って子会社を連結対象から外していた問題で21日、同社の黒坂修社長は会見を開き、子会社の営業損益は2016年度からの3カ年で計11億円の赤字だと明らかにした。エフエム東京は連結決算でこの損失を計上していなかった。
公表された第三者委員会の調査報告書によると、不正は前経営陣の指示のもと、組織的に行われていた。赤字を隠すため、子会社の株を別の会社に移し連結決算の対象から外したほか、必要な取締役会の決議を経ずに子会社へ貸し付けを行ったことや、子会社に過大な委託料を支払う業務委託を行ったことなどを挙げ、「会計基準や会社法等の法令に違反する」と指摘した。同社は、損害賠償請求訴訟も含め、前経営陣に対する責任追及を検討するという。決算は過去の分も含めて9月中に修正し、確定する。
会見で黒坂社長は「公共性の高い放送局としてあってはならないことを発生させた」と謝罪。「会計不正、粉飾と言われることについては真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と語った。
総額100億円規模を投じたが赤字になっている新事業は、映像も楽しめるデジタルラジオ「i(アイ)―dio(ディオ)」。エフエム東京グループは16年に始めた。新事業について黒坂社長は「単独での継続は難しいのは間違いない」とし、新しいパートナーを探しながら事業の継続を模索することを明らかにした。(定塚遼)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル