エボラ出血熱の薬がなぜコロナの薬に? ほかにもある本来の適応とは異なる疾病に効く薬(ENCOUNT)

レムデシビルやアビガンが新型コロナ治療薬の候補にあがった経緯

 新型コロナウイルスの感染者がどんどん増加し、第二波を恐れる声が大きくなっている。ワクチンや決定的な治療薬が開発されるまでは不安がぬぐえない。治療薬といえば、レムデシビルが特例承認され、ほかにアビガンやイベルメクチンなどの名前があがっている。それらの薬のそもそもの適応はエボラ出血熱やインフルエンザだという。数多ある薬のなかで、なぜ、それらが候補にあがったのか。本来の適応とは異なる疾病に効果を発揮する薬は、ほかにもあるのか。糖尿病・内分泌代謝専門医であり、糖尿病治療薬の副次的作用に詳しい国際医療福祉大学医学部の野見山崇教授に聞いた。 【表】米の買い溜めは4.6%、ライブやパチンコを自粛する人も…新型コロナに関するアンケート結果の詳細  日本で5月7日に新型コロナウイルス治療薬として特例承認されたレムデシビルは、そもそもアメリカの製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」がエボラ出血熱の治療薬として開発中の抗ウイルス薬。まだエボラ出血熱の治療薬としては承認されていない。しかし、新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた当初、「ギリアド・サイエンシズ」は試験管内でレムデシビルの新型コロナウイルスに対する効果を調べてみた。すると高い反応を示した。そこで、実際の患者に投与されることとなった。  一方、アビガンはインフルエンザ治療薬として、すでに日本で承認されている抗ウイルス薬だ。
「レムデシビルもアビガンも抗ウイルス薬なので、人間の身体をウイルスという外敵から防御する薬。そういう意味では、新型コロナウイルス治療薬として考慮するには比較的近い。また、エボラウイルスもインフルエンザウイルスも1本鎖RNAウイルスで、新型コロナウイルスも1本鎖RNAウイルス。そのため、効果があるという発想で候補にあがったのではないでしょうか」

寄生虫の駆虫薬・イベルメクチンはなぜ新型コロナの治療薬に?

 しかし、ノーベル生理学医学賞を受賞した大村智教授が発見したイベルメクチンは、寄生虫の駆虫薬だ。1986年からウマなどの動物に使用されてきた。そのイベルメクチンがなぜ新型コロナウイルス感染症の治療薬として候補にあがったのか。  イベルメクチンは寄生虫のなかでも糞線虫などによる感染症の治療薬として使用されてきたが、2012年頃から試験管内でエイズウイルス(HIV)やデング熱ウイルス、インフルエンザウイルスに対する効果が実験され、抗ウイルス活性を示すことが明らかとなっていた。つまり、以前から抗ウイルス薬として期待されている薬だったのだ。  そしてエイズウイルスやデング熱ウイルスも、やはり1本鎖RNAウイルス。そこから、イベルメクチンも1本鎖RNAウイルスである新型コロナウイルスの感染症に効果があるのではないかと考えられ、治療薬の候補にあがったのだ。イベルメクチンはすでに動物実験で新型コロナウイルスに対する効果が得られており、タイではデングウイルス治療薬としての治験が進み、ヒトへの効果と安全性が調査されている。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment