オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚(当時63)の死刑が2018年に執行されてから7月で5年。死刑執行は「心神喪失」の状態だと停止されるが、執行直前に法務省から照会を受けた東京拘置所が、「詐病の可能性」に言及して「精神疾患の所見はない」とする回答書を作成していたことが分かった。法務省が執行を決めた根拠の一端が公文書から明らかになった。
刑事訴訟法は死刑囚について「心神喪失の状態の場合、法相の命令で執行を停止する」と定める。松本元死刑囚の精神状態は裁判当時から焦点になっていた。
遺族側「心神喪失で、執行は違法」
遺族は21年、「元死刑囚は心神喪失で、執行は違法だった」と国に賠償を求めて東京地裁に提訴した。今も続く裁判で国側は、執行直前に収容先の東京拘置所が松本元死刑囚の診療状況などをまとめた文書を、反論の根拠として提出した。
文書には死刑が確定した06年9月から直近までの計65回の定期健康診断、精神科医らの診察、生活状況などがまとめられていた。「狭義の精神疾患を示す所見は認められない」と記し、問診に応じないなどの状態については「詐病の可能性」に言及していた。
遺族側は、文書は「執行にあたり、精神状態に問題がないと説明する形を整えるために作成された」などと主張し、信用性がないと訴えている。(田中恭太)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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