日本在来種で国の特別天然記念物に指定されているオオサンショウウオ。主に西日本に分布するが、過去に中国から持ち込まれ野生化したチュウゴクオオサンショウウオとの交雑が進み、在来種が激減する事態が起きている。だが、中国産も国際的に見れば絶滅危惧種で、交雑種も希少な種から生まれた存在ともいえる。駆除するわけにもいかず、関係者は対応に頭を悩ませている。
京都水族館(京都市)では、京都の川を再現した水槽でオオサンショウウオがゆったりと泳ぐ。1メートル超の大きさのぬいぐるみが来館者の人気を集めるなど、オオサンショウウオは同館のシンボルだ。
実は、水槽で泳いでいるのは、京都市や京都大が河川調査の際に捕獲した交雑種だ。DNA鑑定で、鴨川水系に生息するオオサンショウウオの90%以上が交雑種と判明。交雑種は各地に広がっており、岡山県鏡野町でも2017年度からこれまでに捕獲した117匹のうち、27匹が交雑種だと判明している。
チュウゴクオオサンショウウオは、数十年前に食用に輸入されたが、川で野生化した。それ自体はもう、野外ではほとんど見つからないというが、いったん遺伝的な交雑が起きるとその連鎖を止めるのは困難で、野外に生息する交雑種を減らすしかない。
特別天然記念物として保護される在来種と異なり、交雑種の位置づけはあいまいだ。駆除しても違法ではないが、希少種ともみなせる中途半端な存在だ。在来種を脅かし生態系への影響が大きいことから、交雑種を特定外来生物に指定するよう求める声もある。だが、環境省によると、検討の動きはない。交雑種の行く末を誰も決められない中、「簡単に駆除というわけにはいかない」(京都市の担当者)というのが実情だ。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル