伊藤和也
刑事手続きの全面IT化に向けた法務省の検討会は15日、オンラインによる捜査令状の請求や発付を可能にすることなどを盛り込んだ報告書をまとめた。公判をオンラインで傍聴できるようにするかは、ネット上に公判の様子が残り続けることへの懸念などから慎重な検討を求めた。
報告書では、令状に基づく強制捜査の手続きについて、請求と発付はオンライン上で捜査機関と裁判所が電子データをやりとりし、端末に表示した令状を対象者に示すことで執行も可能にするとした。公判で検察官が被告の犯罪を証明するのに使う証拠書類の開示手続きでも、弁護人が検察庁のシステムにアクセスして電子データをダウンロードできるようにする方法を提示した。
一方、公判のオンラインでの傍聴については、移動や精神面で被害者や遺族の負担が軽減されるなどのメリットがある半面、公判の様子が録画されてネット上に半永久的に残り、証人の協力を得にくくなるといったデメリットもあるとし、慎重な検討が必要とした。
検討会は研究者や法曹三者、警察などの12人で構成。報告書を踏まえ今夏から秋には法制審議会(法相の諮問機関)で議論が始まる見通しで、法制審の答申を経て法務省は刑事訴訟法改正案などの早期の国会提出を目指す。(伊藤和也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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