新型コロナウイルス感染拡大による休校中、オンライン授業を実施したのは全国の公立学校のわずか5%だったことが、文部科学省の調査で明らかになりました。通常の授業を再開した後は、44%の学校で短縮授業や分散登校が実施されています。 【全画像をみる】オンライン授業に成功「ドルトン東京学園」がやっていること、やらないと決めたこと 複業研究家で3児の父である筆者も、なかなか子どもが宿題や教科書に手をつけないなど、休校期間の子どもたちの学習には大変な思いをした一人。長男と次男が通う都内の公立小学校も、オンライン授業は一切なく、実際はプリントが数枚配られたり、TOKYO MXの「TOKYOおはようスクール」という番組を見るように指示があるのみでした。 コロナの時代には、自宅学習でいかに自分で学べるかが大事であること。日本のオンライン教育の道のりは長いことを痛感しました。 そんな筆者がふとしたきっかけで注目したのが、2019年に設立されたドルトン東京学園です。 コロナ第二波、第三波と今後も自宅学習の時間が増えることが予想される中で、生徒の「自学力」を数値化し、その高さを公表。新設校ながら、募集定員100人に対して、2019年比29%増の829人が出願するという注目度です。 ドルトン東京学園では、約100年前にアメリカから伝わった教育メソッド・ドルトンプランに基づいた教育がなされているとのこと。 中でも、生徒自身が目標を立て、先生と生徒が対等な人間として「契約」する「アサインメント」文化が特徴的です。 ぜひともその深層を知りたいと、筆者は子どもの「自学力」に直面する当事者として、ドルトン東京学園の校長・荒木貴之氏にインタビュー。多くの学校が苦戦している、オンライン授業を成功に導いたコツにも迫ります。
オンライン授業が成功した秘訣は「恐れずに進め」
西村創一朗(以下、西村):荒木校長は2020年4月からドルトン東京学園に着任されたんですよね。コロナ禍による臨時休校要請が出ていた中で、どのような状況だったのでしょうか? 荒木貴之 校長(以下、荒木校長):私が着任した日、この学校にいたのは今年着任した先生だけでした。他の先生方はすでに在宅勤務だったため、オンラインで職員会議を行ったんです。そこで「オンライン授業をやりましょう」と決めました。 4月3日には各家庭に通知をして、4月6日には「どんなデバイスでもいいからインターネットに接続し、Zoom(Web会議サービス)が使える状態にしてください」と校長メッセージを発信しました。 すると、全ての家庭がその環境を整えてくれたんです。おかげで無事に4月13日からオンライン授業をスタートできました。 ただ、僕は学校の授業をそのままオンラインに置き換えてはいけないと思ったんですよ。 西村:置き換えるだけではうまくいかない、と? 荒木校長:そうです。一日に6時間も7時間もオンラインでデバイスの画面を見続けるのは体に良くないですし、僕が生徒だったら授業の途中で違うことをすると思います。 ですから、授業は10~15分くらいにして、それ以外の時間は生徒同士のやりとりや先生への質問の様子を見せるような授業構成を先生方にお願いしました。 西村:なるほど、生徒が途中で飽きないようなやり方を考えられたわけですね。ドルトン東京学園の先生方は、初めからデジタルツールに精通していたんでしょうか? 荒木校長:全員がデジタルツールに詳しかったわけではありません。先生方も、助け合いながら授業をしていました。授業中に何かトラブルがあったらSlackで連絡があるので、それを見て周りの先生方がサポートに入るんです。まさにドルトンプランの「協働」(※)ですね。 ※ドルトン東京学園では、約100年前にアメリカから伝わった教育メソッド・ドルトンプランに基づいた教育を実施。その中心にあるのが
「自由と協働」という2大原理と、「ハウス」「アサインメント」「ラボラトリー」の3つの柱。 スクールモットーである「恐れずに進め」を先生方も理解した上で、初めての試みでも「やりましょうよ」と協力してくれたんだと思います。制限された環境の中だからこそ育てられた、という面もあったんじゃないでしょうか。 西村:みんなが初心者ですもんね。荒木校長は、オンライン授業に向けてどんなサポートをされていたんですか? 荒木校長:先生方が自宅からでも通信料を気にせず授業できるよう、Wi-Fiルーターの確保とインターネット環境拡充のための研究費を流用できるようにしました。これは、予算と権限があったからこそできたことだと思います。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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