オールブラックス公認の日本酒　醸造は「大変名誉」（日刊スポーツ）

ラグビーワールドカップ（W杯）で3連覇を目指して26日の準決勝に登場するニュージーランド代表の通称“オールブラックス”公認の日本酒がある。純米大吟醸「ALL　BLACKS　Junmai　Daiginjo」（税込12222円）を手がける栃木県日光市の片山酒造の取締役社長片山貴之さん（50）が24日、取材に応じ、強豪チームの名称を使用した日本酒を醸造していることに「大変名誉なこと」と誇らしげに語った。

2年前に関係者を通じてオールブラックスから日本酒を作りたいと話をもらった。ラグビー経験のある片山さんはラグビー関係者に知り合いが多く「お酒のことなら」と片山さんにオファーが来たという。ブランド力抜群のチームからのオファーに身震いした。

140年続く片山酒造で6代目当主を努める片山さんは学生時代ラグビーに明け暮れた。国学院久我山（東京）では日本一を経験。社会人でもプレーを続けた。現在は家業を継ぎ、酒蔵を守る。ラグビーから離れたが、青天のへきれきとも言えるオファーに「ぜひやらせて下さい」と二つ返事で応じた。「ラグビーからは自己犠牲の精神、チームワーク、相手を尊重する心を学びました」と語る。

同社は従業員10人の少数精鋭で原料の選別、精米、製麹、仕込み、搾り、すべての工程にこだわり手作りに徹する。ラグビー同様、チームワークの良さが酒のうまみを一層引き出す。「伝統の手作りで、手間と時間をかけることが大事。合理化が進む時代だからこそ、お客様に喜んでもらえるのかな」（片山社長）。

オフィシャル純米大吟醸は昨年7月から販売を始めた。前年に醸造した1000本に加えて、今年はラグビーW杯の盛り上がりにつられるように9月以降問い合わせが殺到し、さらに1000本増産した。

酒蔵は日光東照宮にも近く、国内外の観光客が見学に訪れる。今回の大吟醸は兵庫県特産Aランクの「山田錦」を用いている。「オールブラックスは世界最強ですから、最高級の品質のものを作りました。ラグビーを知ってもらうのに貢献できれば」。ファンだけにとどまらず、日本酒ファンもうなるうまさが今年も完成した。【佐藤成】