可憐(かれん)な赤紫の花咲く谷に、黄と黒の模様をした蝶(ちょう)が蜜を求めて羽を休める。京都市の西山連峰の小塩(おしお)山に、市の周辺で共に絶滅が心配されるカタクリの花とギフチョウの姿が今年も同時に見られた。季節限定の美しい眺めを、山を登ってきた人も楽しんでいる。花と蝶の出合いを支えるのは、市民の地道な保護活動だ。(編集委員・長沢美津子)
小塩山(標高642メートル)は、京都市周辺で希少となったカタクリの群生地で、ギフチョウの生息地とされる。春の一時期だけに見られる生物は「スプリング・エフェメラル」と呼ばれ、日本では春の妖精とも訳される。そのはかなさもあって、愛好家は多い。
山頂付近の約3ヘクタールの保護区画は、地域の市民が活動する「西山自然保護ネットワーク」が造ったものだ。「山が好き」「家族で自然に関わりたい」と集まる会員は現在350人ほどで、4月のカタクリの開花時期には整備のできた三つの谷で見学者を受け入れる。花のピークは過ぎたが今年は24日までの予定だ。
代表の宮崎俊一さん(82)は、「自然保護には隠して守る方法もありますが、みんなで守ることを目標に掲げています」。
ネットワークが活動を始めた…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル