路地裏からコーヒーを焙煎(ばいせん)する良い香りが漂ってくる。地下鉄谷町線「関目高殿」駅から歩いて2分ほど。2階建ての白い建物が目に入った。大阪市旭区にある「日本珈琲(コーヒー)焙煎研究所」。焙煎の研究所? 何をするところなのだろう。
「コーヒーの焙煎を誰もが手軽にできるように、小型の焙煎機を多数置いて、時間貸ししています」
店主の下町(しもまち)加奈さん(54)が教えてくれた。
焙煎は、煎(い)る温度や時間で味や風味が変わり、熟練の技が必要になる。近年は自家焙煎のカフェや、自宅でコーヒーを楽しむ人も増えており、焙煎の需要が高まっているという。
ただ、下町さんは言う。
「焙煎を習得するには、失敗を重ねながら何度も練習すること、焙煎機に慣れることが一番です。でも、そんな場所が、あまりないんです」
下町さんには、切実な実体験がある。
以前働いていたカフェで焙煎担当になった。1日使い方を習っただけで、店で提供することに。
使い方を習得するだけで一苦労。「もっと焙煎がうまくなりたい」と思ったが、店で練習しようにも、店の焙煎機は大型で、失敗すれば大量に豆が無駄になる。
少量で、気軽に練習できるところを探したが、全く見つからなかった。
自分と同じように、焙煎を練習したい人がいるのではないか――。そんな人が利用できる場を作ろうと、2021年に店を開いた。予約すれば、3時間3900円から利用できる。
案内された2階の「焙煎研究…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル