南直斗(なおと)さん(27)の机には毎日、持ち主の分からない品物が運ばれてくる。片方だけのイヤリング、高級腕時計、イニシャルの入った指輪。1日30点ほど、いずれも貴重品ばかりだ。
ルーペも使って、模様や刻印といった品物の特徴をつかみ、パソコンに入力する。検索システムに登録された数百万件の遺失届のデータと一致すれば、持ち主に返すことができる。
記録的な猛暑になった昨年夏の昼下がり。届けられたのは、黒いカメラバッグに入った一眼レフだった。鉄道会社からの申し送りのメモには「5日前、新幹線で職員が拾う」とあった。検索したが、届け出は見つからなかった。
バッテリーが残っていた。再生ボタンを押すと、ベビーベッドに寝かされた生後間もない赤ちゃんが画面に現れた。目を閉じた顔。あくびする顔。何度もシャッターが切られていた。
赤ちゃんを抱く母親の姿もあっ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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