カメラマンが託した満州事変のアルバム 従軍して見た戦地の真の姿

 秋田市の写真愛好家三浦進さん(77)の自宅に、1冊のアルバムが保管されている。約15年前、ある男性が亡くなる前、三浦さんに託したもの。アルバムに収められているのは、いまから約90年前、男性が旧日本陸軍に従軍して撮影した、満州事変の数々の写真だ。

 撮影者は、岩田幸助氏(1911~2007)。

 岩田氏は兄が秋田市で開業した写真館を手伝っていたが、1932年、秋田にあった旧陸軍歩兵第17連隊の出動とともに、旧満州中国東北部)に渡った。

 アルバムに残る写真は、約90枚。日本軍の行軍や戦闘の様子のほか、旧満州の現地の人々の暮らしなどを写した。子どもたちの様子を切り取った一枚もある。

 従軍時の様子は33年5月、地元紙・秋田魁新報の1面にも残る。「岩田幸助撮影」の見出しとともに、日本軍の中国熱河省、河北省への軍事侵略「熱河作戦」の戦況を伝える写真と記事が掲載されている。

 帰国後の33年に発行された歩兵第17連隊の「満州事変出動記念写真帖(ちょう)」にも、岩田氏の写真は数多く収められている。この本に連隊長が記した序文では、「身ヲ挺シテ最前線ニ赴キ能ク将兵死闘ノ実況ヲ写シテ」と岩田氏について評価している。

 一方で、アルバムには、当時の新聞や写真帖に掲載されていない場面も、収められている。

 捕らえた敵兵とおぼしき数人…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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