江口悟
電力大手4社のカルテルを公正取引委員会が認定した事件を受け、九州電力の株主11人が池辺和弘社長ら現旧取締役8人に、公取委が命じた課徴金など総額28億6223万円の損害を会社に与えたとして賠償を求めた株主代表訴訟の第1回口頭弁論が15日、福岡地裁(上田洋幸裁判長)であった。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う構えを見せた。
原告側は意見陳述で「首謀者の関西電力が(カルテルの)事実関係を完全に認めている」と指摘し、「自浄作用に期待したが、九電は身内をかばう対応に終始している」と批判。被告らはそれぞれ任務を怠り、直接関与したり黙認したりして会社に損害を与えた責任があると訴えた。
一方、九電はこの裁判に、被告の現旧取締役を支える立場で補助参加し、この日も被告側は九電の代理人が主に発言した。今後、被告側が「カルテルに合意した事実はなく、任務を怠ってもいない」との主張を立証するための書面を提出した後、弁論準備手続きで争点を整理することが決まった。
この株主代表訴訟とは別に、九電は昨年9月に公取委の課徴金命令などの処分の取り消しを求める裁判を東京地裁に起こしており、カルテル事件に絡んだ二つの裁判が並行して進む形になっている。(江口悟)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル