容器に入れたガソリンの販売をめぐっては今回の事件を受け、独自の対策に乗り出している自治体もあるが、寒冷地などガソリンが生活必需品である地域では販売の厳格化の浸透が難しい現状もある。また、厳格化が進むことで、一定の犯罪抑止効果は期待できるものの「悪用の根絶」という観点でみると、実効性を不安視する声も上がる。
京都市は25日、購入者に顔写真付きの身分証明書の提示を求め氏名や使用目的を記録するよう、業界団体に文書で要請した。
東京消防庁も同様の対策を始めたほか、大阪市消防局は22日から、購入者の氏名や住所、使用目的を記録する用紙をインターネット上からダウンロードできるようにした。
札幌、名古屋の市消防局も導入を検討。関西広域連合は25日、国に対してガソリン販売の規制強化を要請することを決めた。
過去にも平成21年の大阪市此花区のパチンコ店放火事件などガソリンが悪用されるケースがあり、大阪府では府石油商業組合が購入者の身元を確認する対策もとられていた。それでも、全国的な規制とまでは至らず、この日、出された消防庁の通達も法的拘束力はない。
背景にあるのは、ガソリンが広く生活に普及しているという点だ。農機具に使用するほか、寒冷地では除雪機に使われる。北海道旭川市のあるガソリンスタンドの店員は「雪が降れば、携行缶を持ってガソリンを求める客が多く訪れる。一人一人、身元確認するのは難しい」ともらす。
さらに、実効性そのものを不安視する声もある。
近畿大の中川知宏准教授(犯罪心理学)は「身元確認で購入者に捕まるリスクが高くなると思わせ、犯罪を踏みとどまらせようという狙いがあるのだろう」とする一方、「今回の事件のように犯人に強い殺意がある場合は、身元確認をしたところで止められないのではないか」と指摘している。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment