「永遠の小学生」ガリガリ君は2021年、「不惑」を迎える。新1万円札の「顔」となる渋沢栄一と同じ埼玉県深谷市出身。いまや暮らしのなかに溶け込む国民的アイスへと成長したが、たどってきた道は決して平らなものではなかった。記念すべき年にどんなフレーバーが登場するのか。ファンのみならず期待感が高まる。
ガリガリ君は、カップかき氷「赤城しぐれ」を大ヒットさせた赤城乳業(埼玉県深谷市)が、子どもが遊びながら片手で食べられるかき氷ができないか、という思いで開発。昭和30年代のガキ大将をイメージし、1981年に誕生した。
発売初期は、すぐに溶けてしまうなどの技術的な問題点が指摘された。90年代後半に市場調査をすると、パッケージのガリガリ君が「歯ぐきが目立つ」「気持ち悪い」と若い女性を中心に散々な評価を受けた。2000年にイラストをリニューアルし、売り上げも1億本に達した。
ファンの集いで驚愕 「当たり棒」数十本を…
さいたま市のドライバー堀川容嗣さん(41)は物心ついた時からのガリガリ君ファン。1日に1本は食べていたといい、冷凍トラックを運転していた時には「この中にガリガリ君を置いておこうかと思ったこともある」。
30年来のガリガリ君ファンのさいたま市の会社員吉川敬さん(58)は、18年に赤城乳業本社で行われたファンの集いとも言える「第1回ガリ会議」に出席した。ガリガリ君の「当たり棒」数十本を机の上に並べる出席者にたじたじとなったのを覚えている。もう一つ驚いたのが若い社員が多かったこと。「こんな若い人たちが一生懸命いろいろな味を考えているのか」と感激した。
そんな若手が活躍した例の一つが12年。SNSで話題となり、発売3日目で供給が間に合わず販売休止になったという伝説のコーンポタージュ味が登場した年だ。現在開発マーケティング本部でマーケティングチーム係長として働く岡本秀幸さん(34)が提案した。当時は入社3年目で開発部に所属。志望動機は「楽しい商品企画・開発の仕事をしたかったため」。駄菓子店からヒントを得て提案したという。
一方で、14年に出したナポリタン味は数億円の赤字を出した。失敗しても萎縮せずに次のステージに挑戦する源泉にもなっているのが「千本ノック」と「プレイズ&ペナルティー」。前者は1年で1千個の味を考える商品化に向けた発想トレーニング。後者は成功すれば評価され、失敗すればボーナスから一定額が没収される社内制度だ。
「ガリガリ君が大好きで楽しそうな会社だと思ったから」と14年に入社した総務部副主任の高田恵里佳さん(29)は「『あそびましょ。』がキャッチフレーズだけど、商品づくりに関してはそれどころではない厳しさ」と笑う。ガリガリ君開発もダメ出しあり、ツッコミあり、しかも年齢も部署も関係なく意見が飛び交う。挑戦した結果、失敗してペナルティー金没収ですべてチャラ。そうやって若手が奮い立つ土壌を赤城乳業はガリガリ君とともにつくってきた。
ガリガリ君は国民的なアイスへと成長したが、昨年10月には深谷市新庁舎などを祝うためにアイス100本を来庁者に配るなど地元への貢献も忘れない。
5月に新フレーバーの発表
そのガリガリ君「40歳」を記…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル