インクカートリッジの仕様が変更され、使用済みカートリッジにインクを再注入したリサイクル品を販売できなくなった――。
大阪市内のリサイクル品販売業者がこう訴え、大手精密機器メーカーのキヤノン(東京)に対し、仕様変更の差し止めと3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁で言い渡される。同種訴訟ではメーカー側に賠償が命じられた例もあり、地裁の判断が注目される。
訴えているのはリサイクル品を製造・販売する「エコリカ」。2003年から、使用済みカートリッジを家電量販店などから回収し、インクを再注入して純正品より2~3割安く販売する事業を展開してきた。
訴状などによると、キヤノンが17年9月に発売したカートリッジから、インクの残量を表示するICチップの仕様が変更された。使用済みカートリッジにインクを再注入してもプリンターが残量を感知せず、プリンターの液晶画面などにインク残量が表示されないようになった。
エコリカ側は、キヤノンが純正品のインクカートリッジしか使えない状況にしたと主張。独占禁止法が禁じる「競争者に対する取引妨害」や「不当な抱き合わせ販売」にあたると訴えている。
一方のキヤノン側は「インクの残量は、少なくなれば紙に薄く印字されるなど目視で確認でき、純正品を購入せざるを得ないとはいえない」と反論。「リサイクル品では印刷ができなくなるような設計にはしておらず、何ら不当な行為はしていない」と主張している。
エコリカの宗広宗三社長によ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル